江戸川乱歩のこども向けのお話
数少ない少年探偵団シリーズ以外の作品!!
小学生の明石一太郎くんは、友達や近所の人から「知恵の一太郎」というあだ名で呼ばれています。
なぜなら一太郎くんは「なぜ」と「どうすれば」をいっぱい考える性格だったからです。
これはそんな一太郎くんの物語です。
一太郎くんが五年生の頃、友達の木村良雄くんとキャッチボールをしていました。
良雄くんが勢いよく投げた球は泥の池に落ちてしまいます。
二メートルほど向こうにある球をどうやっても取れず、良雄くんは家に竹の棒を取りに帰りました。
そして戻ってくると一太郎くんは球を持ってニコニコしています。
一太郎くんは池に入らず、どうやって球を取ったのでしょう?
ヒントは象の鼻です。
そして別の日。
一太郎くんが友達と雪合戦をした帰り、近所の大学生・高橋さんに声をかけられます。
知恵だめしだ、と言って雪に残った足跡の謎を出されます。
雪の上に残った足跡が途中で消えているのです。
首をかしげる友達の横で、やっぱり一太郎くんはニコニコしています。
この謎も見事に解いてしまいますが、みんなはわかりましたか?
まだまだたくさんある謎を、一太郎くんと一緒に解いてみましょう。
※ 本作品は発表時の時代背景により、今日の社会では一般的でなく、 不適切と思われる表現が含まれている箇所がございます。しかし作品の オリジナル性を尊重し、当時のまま忠実に再現することを優先いたしました。
江戸川乱歩(えどがわ・らんぽ)
日本の推理小説家。1894年10月21日生まれ、三重県生まれ。筆名は、19世紀の米国の小説家エドガー・アラン・ポーに由来する。数々の職業遍歴を経て作家デビューを果たす。本格的な推理小説と並行して『怪人二十面相』、『少年探偵団』などの少年向けの推理小説なども多数手がける。代表作は『人間椅子』、『黒蜥蜴』、『陰獣』など。1954年には乱歩の寄付を基金として、後進の推理小説作家育成のための「江戸川乱歩賞」が創設された。